茅ヶ崎へ

2007/12/04

仕事の打ち合わせで茅ヶ崎へ。
電車のなかで
『走ることについて語るときに僕の語ること』を読む。
読んでいて、胸がつまった。
46ページのあるところ。
村上さんが小説家になろうと思ったときの話で
そのことについては、以前、何かで読んで知っていた。
知っていたけれど、そこを読んだら、涙があふれそうになった。
家でひとりで読んでいたら、多分、泣いていたと思う。
1ページ、1ページ、ページをめくる。
横浜をすぎたあたりから
電車の窓から見える空が、どんどん広くなっていく。
高い建物がへり、視界が開けてくる。
ときどき、窓の外に目をやり、空の色を確認して
本に目をもどす。
茅ヶ崎につくまでの1時間、そんなふうに本を読んだ。
わたしは17歳のとき
「これからは生きている人の本を読もう」と決めた。
電車通学をしていたので、
往復の時間は、わたしの読書時間だった。
つまらない授業のときも、机の下で本を開いていた。
(主に数学と古文の時間です
数学の授業は高校3年間、まともに受けたことがありません)
あるとき、あとどれくらい本が読めるか、とふと考えたら
いま世の中にある本のなかで読めるのは、
ほんのひと握りなんだなと思った。
そのとき、おなじときを生きている人の言葉を
読んでいこう、と思った。
村上さんの本は、20代半ばからずっとそばにある。
今日、電車のなかでページをめくる度
どうして自分が「村上春樹」がすきなのかがわかっていく気がした。
久しぶりに降り立った茅ヶ崎駅から見る空は、
電車の窓から見えていた何倍もの大きさだった。
冬の日ざしが、空を明るく照らし
12月にしてはあたたかい風が、海のほうから吹いていた。
つづきは、また、明日。
読みつづけたい気持ちを抑えて、本をトートバックにもどした。
そして、打ち合わせの場所にむかった。

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